構造材をあらわしにするということ

2013/06/08(土) 未分類
一戸建ての住宅の場合、木造でつくられることが多いのですが(地域で産出される素材を使ってつくるということ)、木材を使っていながら、構造材料を隠してしまう作り方が、一般的になってきました。

この理由は、どんなところになるのでしょうか。

かつての木造住宅では、柱があらわしになる真壁造が多くありました。「♪柱のキズはおととしの…♪」と唱歌にもあるように、子供たちの身長を柱に刻んだり、家とヒトの暮らしには関係性がありました。

最近では、真壁は、壁にスキマが多く発生してしまうことを避けるため、また、外壁側の断熱材の厚みを確保するなとの理由から、柱を隠してしまう大壁造に代わってきました。真壁造にする場合、家づくりのコストもアップしてしまうことも理由のひとつです。

ゆい工房では、断熱性を向上させるため、柱については、あまりあらわしにしていませんが、外壁に面していない柱については、あらわしにする計画が多くあります。

梁(床や屋根を支える横に掛かる材料)について、天井の中に隠される場合が多いようですが、ゆい工房では、可能な限り、あらわしにしています。これにより、天井の高さをより高くとることができます。

美しい構造計画を実現するためには、グリットプランニングが欠かせません。これは、梁(横架材)が、一定のピッチでかかるような、構造の計画をベースにして間取りを考えるということです。構造材を隠してしまう家では、構造を無視したプランも多く見受けられるのですが、ゆい工房では、構造の見え方を意識したプランを立案するように取り組んでいます。

慣用句で、「縁の下の力持ち」(人の目につかないところで他のために支える苦労や努力をすること)とか、
「我が家の大黒柱」(家の中心となる太い柱から、家族を支える主人に例えられる)、
「敷居が高い」(玄関の敷居を意味し、これが高いとは、何か問題があって相手の家に行きづらくなったことの意味)、
「起きて半畳、寝て一畳」(いくら大きな家を建てても、起きていれば半畳あれば足り、寝ているときでも一畳あればすむ、ということから、お金ばかりを追っても所詮限度がある、という言葉)、
「うなぎの寝床」(間口が狭く、細長い空間のこと。間口に応じて税金がかけられていた時代があり、このような敷地形状の家が町場に増えたようです)、
「門外漢」(門の内に居る人は門人・門弟ということで、教えを受けている人。門の外の人は、関係のない人、畑違いの人、という意味)
などなど。

「家」を題材にした「慣用句」が多くあることからも、家づくりは、ヒトの暮らしや文化に深く関わりのあることだと、改めて、考えさせられます。構造材を身近に感じられる家づくりは、日本の文化につながるもので、守られるべきものではないかと感じています。




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