薬師寺西塔再建をささえた「千年の釘」

2013/02/27(水) 未分類
白鷹幸伯(しらたか ゆきのり)氏という鍛冶職人をご存じであろうか。

昭和46年西岡常一棟梁と出会い、薬師寺再建のための白鳳型和釘の鍛造を行ったことで知られる。

法隆寺や薬師寺修復や再建を手掛けた宮大工の故西岡常一棟梁は、樹齢千年の檜を使って千年はもつ建物を造るのが自分の役目だと語っていた。

世界最古の木造建築である法隆寺。ここで使われていた釘は一千年余も経過した現在でも十二分にその役目を果たしていたという。

ところが現在の高炉から作られた釘は30年も経過すれば錆びて原形を留めないほど朽ち果ててしまう。

古代の釘は、砂鉄を炭で還元して造った不純物の極めて少ない純鉄を鍛造して釘に仕上げているので銹(さび)も表面だけで中に侵食していくことが極力少ないため千年以上の長きにわたりその役目を果たすことが出来るのだという。

西岡棟梁から依頼を受けた白鷹氏は、釘に適した高純度鉄をどうやって入手しようかと頭を抱えていたところ、大手鉄鋼メーカーNKK(現JFE)が、貴重な文化遺産を守る有意義な事業だとして、炭素の含有率が0.1%の古代鉄に近い高純度鉄(SLCM材)を製造し、採算度外視で用意してくれたのだという。

薬師寺西塔用の和釘は6,990本鍛造された。その後、錦帯橋(山口県)架け替え時には、棟梁が何度も訪ね、薬師寺と同じ材質の和釘が18,000本鍛えられたという。

一千年の建築物を建てる、日本の伝統文化の重みをあらためて感じることができる。


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