安心できる我が家

2015/10/18(日) 未分類
最近、三砂ちづる先生(津田塾大学教授)という方の、お話を伺う機会を得た。

公衆衛生に関する研究者の方なのだが、妊娠や出産に関する書籍を多数記しておられる方で、色々と考えさせられた。

現代日本では、殆どの人が病院で誕生する。妊娠や出産は、病気ではないのだけれど、陣痛が来ると、病院に行く。助産師さんに来てもらって自宅で出産ということは、殆どなくなってしまった。

そして、最期の時も、病院で迎えるのが殆どになってしまった。

かつて、人は、家で生まれ、家で他界していたのに、現代の科学が進歩する中、医療技術により生命が守られているので、生命の始まりも終わりも、病院のお世話になってしまっている現状だ。

医療技術の果たしてきた役割は、とても大きいが、「生」や「死」の境界線に、どのように臨んでいくかということでは、進歩した科学だけに依存することに、問題があるのではないかと思うこの頃だ。

家づくりにたずさわるものとしては、家の果たしている役割を、あらゆる観点から考えさせられるのだが、住み繋いでいくということと、生命が連続していくことには、大きな関連性があるように思う。

他界した祖母が、入院中に「家に帰りたい」とよく話していたのを思い出す。当人にとっては、やはり一番安心できるところが、我が家だったのだなあと思う。

安心できる我が家。そこをベースにしながら、生命は繋がって行くものなのだ。




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