日本では使い捨て住宅?2×4工法

2013/02/25(月) 未分類
●今日は、工務店のおやじの視点から「2×4工法」をどのように考えている(評価しているか)を書いてみましょう。
もちろん、主観的かつ個人的な見解であることをあらかじめお断りした上で、すすめていきたいと思います。

●ゆい工房は今年で40周年をむかえましたが、ゆい工房の歴史の中で、「2×4工法」を実施していた時期が3年間ほどあります。
実際、私の自宅も今から12年ほど前に、2×4工法で建てました。
そのような経験もありますので、ここで述べることは決して根拠の無いことを書いているのではありません。


■1)2×4工法の普及は、日米貿易摩擦の遺物であること。

ひと頃、灯が付いてすぐにしぼんでしまった輸入住宅ブーム。その火付け役はJETRO等の公的機関を通じた国策です。私もなんどもJETORO主催の輸入住宅促進のためのセミナーに参加した経験があります。


■2)2×4工法は高温多湿な日本の気候風土になじまないこと。

古来から日本では極力釘を使用せず、木組みの技が発展したのは、高温多湿な日本の風土の中で、鉄が錆(さび)、朽ち果ててしまうことを宮大工が知っていたからです。

ところが、2×4工法は外壁にベニヤ(合板)を貼り、小径木の寄せ集めで柱をつくり、すべての連結部は釘を使用するという発想です。

ベニヤが数十年で朽ち果てることは体験的に理解できますし、鉄釘が錆びることも当然のことですので、構造耐力上、2×4工法はどんなにひいき目に見ても、100年(50年?)は持たないと考えられます。


■3)2×4工法の長所は壁通気のないことの証左

2×4工法のメリットとしてさかんに宣伝されているのは「耐震性」「耐火性」の2つです。
耐火性能は火災保険の等級が上がり、保険料が安くなるメリットがあるようですが、壁をファイヤーストップ構造で密閉し通気を無くすることの証左でもあります。壁体内を空気が移動できないことには、私はものすごく抵抗感を感じてしまいます。
また、耐震性能では、ベニヤが朽ち果てることを考えると、長期間の構造耐力上の担保は出来ない可能性があるように思われます。


■4)2×4工法は増改築には不向きである。

そもそも壁で構造耐力を維持し、間仕切りを移動することが難しい2×4工法は、その後の増改築が困難な工法です。
実際、現在依頼されている2×4工法のお客様も意外にそのことをご存じで、隣に木造軸組工法で建て増しをするしか方法がありません。
(正確には2×4工法で再計算をした上で、壁を移動することはできると考えられますが、多くの手間と費用がかかってしまいます)


■5)米国の家の寿命が長いのは2×4の優位性ではない。

米国の家の寿命が長いのは、ライフステージの変化に応じて家を買い換える文化が根付いているから。そして、買い換えの際に、リフォーム価値を家にプラスすることができる評価制度があるからと考えられます。

そもそも、ライフステージに応じて家を買い換える文化がない日本は、増改築でライフステージに対応する文化と理解するべきであると思います。

■6)2×4工法を理解した大工が確保できると思われないこと。

将来的に2×4工法がこれ以上シェアを伸ばすことは考えずらく、家守りである大工が、将来的に2×4工法を理解し、継続的にメンテナンスをしていくことは現実的には困難なのではないかと思います。


●今日のまとめ。

2×4工法は、米国のプラグマティズムの思想が生み出した合理化住宅であり、コストダウン(低価格の家)にはメリットはあるかもしれないのですが、耐久性の視点から日本の家づくり文化の主流にはなり得ないというのが私の意見です。

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