●企画住宅時代2

2008/02/10(日) 未分類
●「メーターモジュールの功罪」

ローコストと呼ばれる住宅の共通特徴の一つに「メーターモジュール」がある。

「モジュール」とは住宅設計をする上での基本的な基準単位のことであり、現在でも主流は昔ながらの尺貫法である。(一間1820ミリが基準)

これに対し、近年「ローコスト」と呼ばれる住宅メーカーを中心に普及してきたのがこのメーターモジュールである。

一間1820ミリが2000ミリに、半間(3尺)910ミリが1000ミリに置き換わる。

日本人の体型も年々大きくなり、このメーターモジュールへの移行はある意味妥当なことのようにも思われる。

実際私もメーターモジュールの家を建築してみた。

メリットとしては廊下幅や階段幅が広がり、バリアフリーとしての最低規格をクリアするうえでもメーターモジュールはとても便利だ。また、全体的に部屋がゆったりと広くなる。(当たり前のことだが・・・。)

逆にデメリットとしては、尺貫法のプランをそのままメーターモジュールに焼き直すと面積で約1.4倍に拡大する。そのため、狭小地には向かない。また、驚いたことに小回りのきく、気の利いた間取りをつくることが本当に難しい。

そもそも、トイレや収納が1000×2000というのは、いかにもだぶだぶの上着を着ているようでスペースの無駄遣いだ。

実際メーターモジュールは坪単価表記をしている「ローコスト住宅」の重要な戦略の一環である。

同じ建築価格でも面積が増えれば坪単価は下がる。同じ間取りでもメーターモジュールでは面積が増える割合に比べ、建築費が比例的に上昇はしない。(柱の本数や住宅設備は増えない)

坪単価の安さを切り札にしている住宅メーカーが、メーターモジュールを利便性よりも販促の道具に使用しているとしたら、少々悲しい気持ちもするのだが・・・。


つづく

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