結の人鹿野利幸
「ある時ふっと、与えられるんです。」心で描く設計アパートでなく、賃貸でなく、土地に愛着を持ち、戸建ての家を構えるということ―。そこには「ここに家をもつのだ。」という覚悟と大変な決意があります。
私の家私の生まれ育った家は、茅葺屋根の、でっかい梁のある家でした。 間取りは、いわゆる「田の字プラン」。家の中でローラースケートをしていたくらいです。ホールのような、公民館のような。「この家は、15人も20人もの親戚が住んでた家でね・・・。」昔話のようにいつも鹿野家代々の家の話を聞かされました。 家はただ寝るだけではなく、人が集い、様々な作業をする機能をもった多目的な場所。そんな作業を通じ、親子だとか家族がある。私にとって家のイメージはそれしかありません。細かく仕切られていない空間は、ある時は誰かが使い、またある時は他の誰かが使う。正に今、私たちが皆様にご提案している「広がり間取り」の原点がそこにありました。 専業農家で畜産を営む父が、肉牛の牛舎を大工さんと一緒になって建てた出来事は、今でも鮮明に覚えています。牛に光が当たる様に、牛がエサを食べるのに一番良い角度となる様に、そして風が通る様に。何も無いところから、古材を使って造りもデザインも至ってシンプルですが、とても合理的な牛舎が見事に完成しました。すごいなぁ~って感動したんです。 「何もないところから、何かが出来上がっていく」喜び。 |