結の人鹿野利幸

鹿野利幸

「ある時ふっと、与えられるんです。」

心で描く設計

アパートでなく、賃貸でなく、土地に愛着を持ち、戸建ての家を構えるということ―。そこには「ここに家をもつのだ。」という覚悟と大変な決意があります。
だから。
その家は、土地の相に合致し、家族の個性が反映され、ご夫婦だけでなく、お子様も満足して住める、真に住み手が愛着を持てる家でないと「困る」のです。
「真に住み手が愛着を持てる家」の設計に必要なことはコミュニケーションです。実際、私たちはお客様と一緒に生活をしているわけではなく、また、敷地のこともお客様の方がよく知っておられるでしょう。
ご家族の本質的なお考えや時にはお悩み。それを話していただくためのコミュニケーション。お客様の本質を読み取れたとき、ありきたりの設計プランではない、お客様の個性を取り入れた大胆な設計プランが誕生します。時に私たちは、お客様のお家が建つお土地に何度も立ちます。もがき苦しむ時間の先に、ある時ふっと、何かが与えられる瞬間。
それは、お客様のイメージが明確に読み取れたひらめきの瞬間であり、設計士にとってこれ以上ない、至福の瞬間なのです。

 

私の家

私の生まれ育った家は、茅葺屋根の、でっかい梁のある家でした。
とても太い大黒柱、しっかりした骨組みを支える牛梁。大きな被害を出した宮城沖地震の後も、特に修理することなく10数年暮らし、ごくごく最近まで住んでいた思い出あふれる家。今思えば、崩れないよう考えつくされた家でした。

間取りは、いわゆる「田の字プラン」。家の中でローラースケートをしていたくらいです。ホールのような、公民館のような。「この家は、15人も20人もの親戚が住んでた家でね・・・。」昔話のようにいつも鹿野家代々の家の話を聞かされました。

家はただ寝るだけではなく、人が集い、様々な作業をする機能をもった多目的な場所。そんな作業を通じ、親子だとか家族がある。私にとって家のイメージはそれしかありません。細かく仕切られていない空間は、ある時は誰かが使い、またある時は他の誰かが使う。正に今、私たちが皆様にご提案している「広がり間取り」の原点がそこにありました。

専業農家で畜産を営む父が、肉牛の牛舎を大工さんと一緒になって建てた出来事は、今でも鮮明に覚えています。牛に光が当たる様に、牛がエサを食べるのに一番良い角度となる様に、そして風が通る様に。何も無いところから、古材を使って造りもデザインも至ってシンプルですが、とても合理的な牛舎が見事に完成しました。すごいなぁ~って感動したんです。

「何もないところから、何かが出来上がっていく」喜び。
それを教えてくれた両親は、今も「日本一の牛肉を作る」夢を追いかけています。

 
結の人 の

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