●大学では「木造建築」教えないってほんと?

2017/07/12(水) 住まいについて

■■■工務店のおやじが語る『住まいの寺子屋塾』■■■ ・・・はじまりはじまり・・・

 

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●本日のテーマ● 『大学では「木造建築」教えないって本当?』

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●かつて一緒に仕事をしたゼネコン監督がしみじみと「建築で一番奥が深くて難しいのは木造建築だ」。ところがその木造技術が瀕死の状態に・・・。その実情を語る。

 

●●大学で木造建築を学ばないのはなぜか?

 

1)高層ビルや公共建築物のほとんどは「鉄筋コンクリート造」か「鉄骨造」。今でこそ大断面の木造建築技術が普及してるとはいえ、大学の使命として「木造建築」の優先順位が低いことは否めず。

2)第二次世界対戦時に東京大空襲で米軍の焼夷弾で10万にもの死傷者を出した。都市防災上、木造建築が「燃える」ことは欠点の一つ。戦後災害に強い建築物重視の姿勢が根強いというのも一つの要因。

3)建築は日本文化の基。伝統的な「木造建築」の重要性の認識が年々希薄になってはいまいか。

 

●●「木造建築」を学んでいない弊害は?

 

1)一番問題なのは、「木造建築」の架構を体系的に学ぶ機会がほとんどないこと。伏せ図も軸組図も書かず、構造は「プレカット図面」で丸投げというケースも。

2)本来の「木造技術」は木の架構を現しにした「真壁構造」が基本。ところが、断熱化の社会的な要請で壁はほとんど「大壁」に。木造軸組技術は後回しに。

3)1階と2階の壁線をそろえるといった基本がおろそかになり、構造的に不安定な物件も・・・。

 

●●これからどうやって「木造建築」と付き合うべきか。

 

1)幸い「木造建築」をライフワークとしている「建築家」の先生方が現在はいらっしゃる。

2)ただ、「断熱基準」の強化は、日本の家をますます「大壁化」「総二階化」「片流れ屋根化」の方向に押しやってしまう。建築の文化的意匠が無くなってしまわないか不安な状況だ。

3)今一度、「住宅とは何か」。「木造建築の意義と価値は何か」。じっくり原点に立ち返る必要がありそうだ。

 

●本日の『住まいの寺子屋塾』はこれにて「一軒楽着」。 ・・・おしまい・・・